3941 レンゴー
企業について
段ボール原紙である板紙で国内2位、製品である段ボールは国内首位。1909年に井上貞治郎氏が日本で初めて段ボール事業を創始。1999年にセッツ、2000年に丸三製紙を子会社化、原紙を貼合した段ボールシート、それを成形するケースまでの一貫生産体制を構築。地域密着の工場展開に優位性があり、飲料向け段ボールケースでは大手顧客向けに強い。紙器からフィルム、樹脂系の軟包装から重包装まで総合パッケージ企業を指向。近年は海外の包装資材会社や国内の中小段ボール加工会社買収が相次ぐ。
引用:四季報オンライン
マルチプル関連
日付 | 2025/07/01 | |
時価総額(億円) | 2,090億円 | |
株価(円) | 771.1円 | |
PER | 8.0倍 | |
PBR | 0.41倍 | |
利回り | 3.89% | |
ROE(予) | 5.17 | |
信用倍率 | 12.15 | |
ネットキャッシュ | -1635億 | ※流動資産+投資有価証券×0.7-負債 |
ネットキャッシュ比率 | 計算不可 | ※ネットキャッシュ/時価総額 |
キャッシュニートラルPER | 計算不可 | ※PER×(1-ネットキャッシュ比率) |
取引のサイト(L or S) | L | |
目標株価 | 970円 | ※PER×EPSで計算 PER10倍 |
株価の想定レンジ |
※ヒストリカルPERでレンジを予測 | |
レーティング |
岡三 強気 1080→930 6/24 JPモル 強気 1250→1200 日興 強気 1010→900 野村 買い 1110→1050 東洋経済四季報レポート 理論株価 2089 |
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SL | 含み損マイナス20% | |
株主優待 | 無 |
ポジションの理由
・バリュエーションが割安
PER8.0 PBR0.41 利回り3.89 とヒストリカルで比較しても割安。
各社レーティングでも1000円までの上昇は期待できる。
・利益率の改善で最高益が期待できる
売上は2025/3 9932億で過去最高。2026/3予想でも10050億でさらに更新予想。しかし営業利益率の低下で営業益は400億程度の予想。
しかし、円高と値上げの効果で利益率が上がれば最高益が期待できると思う。段ボールで国内首位のシェアが在れば値上げ交渉は有利。
「2025 年 3 月期 決算説明会での主な質疑応答」によると、営業利益率4%は最低ラインとのこと。
質問: 今期の予想営業利益の水準の高低をどう捉えていますか?
回答: 最低ラインの認識です。利益率 4%は死守したいと考えております
もし2026/3 予想売上高1,005,000 で営業利益率5%を達成できれば、営業利益50250(百万)と最高益である。
レンゴーと為替感応度
1. 為替感応度の構造
SMBC日興の分析によると、「為替感応度(1円の円安/円高変動に対する売上・利益への影響)」が推定されています(PDF資料)perplexity.ai+15researchdirect.smbcnikko.co.jp+15minkabu.jp+15。円高方向では業績プラス圧力がありますが、逆に円安になると逆風です。
2. 事業セグメント別の影響
レンゴーの有価証券報告書(英語版)によれば──
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海外事業は、1ドルの円安につき約30億円の利益悪化の影響が出る
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一方、国内事業(紙・ボード製造)では約+60億円のプラスながら、これらを合算した結果、トータルでも円安はマイナス圧力となります。
つまり、たとえ国内で収益が支えられても、海外売上・コスト面の不利な影響が大きいのです。
3. 原材料・物流などのコスト増
原料の回収紙・石油由来素材・輸送コストなど、輸入価格が円安で高騰し、収益を圧迫します。最新の予想でも「物流費や労務費の上昇リスクが継続」とされており、価格転嫁・コスト管理が明記されていますminkabu.jp。
⚖️ 総合まとめ
項目 | 円安の効果 |
---|---|
国内事業 | ややプラス(輸出競争力や価格据え置き) |
海外事業 | 明確なマイナス(為替差損) |
原材料・物流コスト | 円安で上昇 → 収益圧迫 |
結果として、円安はレンゴーにとって総じてネガティブ。特に、海外事業の規模が大きいため、為替変動には要注意です。
レンゴー(3941)の最近の値上げについて
1. 段ボール・紙器製品(2024年4月1日納品分〜)
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2024年3月1日発表のプレスリリースで、4月1日納品分から現行価格比で「10%以上の改定」を実施と発表されました。原燃料高、円安によるコスト上昇、物流費・労務費の増加が背景です thepackagingportal.com+10rengo.co.jp+10minkabu.jp+10。
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同リリースは日本証券新聞やロイターでも報じられ、株価は発表直後に急騰。一時約4.6%高、1,043円台まで上伸しています jp.reuters.com。
2. コート白ボール紙(2025年1月1日納品分〜)
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2024年11月18日に発表されたリリースによると、**コート白ボール(全品種)について2025年1月1日納品分から「10%以上値上げ」**とのことです jp.reuters.com+2rengo.co.jp+2rengo.co.jp+2。
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これも、原材料・燃料高騰、人員コストの増加を受けた対応であり、幅広い製品カテゴリーに価格改定が広がっています。
🔍 総括すると
対象製品 | 納品開始日 | 値上げ幅 | 背景要因 |
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段ボール・紙器製品 | 2024年4月1日〜 | 10%以上 | 原燃料・物流・人件費高騰、円安 |
コート白ボール紙 | 2025年1月1日〜 | 10%以上 | 同上+環境対応コスト |
➤ 投資家目線での注目ポイント
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値上げ幅が一律10%以上と明示され、価格改定が定着傾向にある点はポジティブ。
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ただし、原材料・燃料・物流などコスト上昇圧力は依然強く継続中で、今後も追加的な改定やコスト負担の転嫁が不可欠。
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会社側は「徹底したコスト削減に努めながらも、これ以上は自助努力だけでは困難」としており、さらなる価格転嫁が見込まれます rengo.co.jpfinance.yahoo.co.jp+2rengo.co.jp+2minkabu.jp+2。
✅ 今後のチェック材料
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次期決算資料での価格改定実施後の業績反映状況
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アナリストのIRコメントや、物流・労務費などのコストトレンド
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為替状況(円安・円高動向)、原油価格などのマクロ要因
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追加の製品カテゴリへの形態変更(例:樹脂系包材など)
続報:2025年7月3日 段ボール原紙・紙管原紙・チップボール、段ボール製品・紙器製品の価格改定について
レンゴー株式会社は、このたび、段ボール原紙・紙管原紙・チップボール、段ボール製品・紙器製品の価格改定を実施させていただきます。
世界的なインフレや関税政策の影響等を背景に、原燃料、諸資材価格は上昇、高止まり傾向が継続しております。さらに、賃上げの実施や人手不足の深刻化を背景とした労務費の上昇、物流コストのアップ、パートナーシップ構築宣言に則った協力会社からの価格改定要請への対応、また、設備の維持修繕費用の高騰、環境対策の実施など、バリューチェーン全般にわたるコスト構造の変化が続いております。
かかる状況の中、当社では内部努力によるコスト吸収の努力を続けておりますが、安定供給、品質維持のためには、価格改定をお願いせざるを得ない状況となっております。
引き続き、環境に配慮し、お客さまのさまざまなニーズに対応した製品の提供に努めてまいりますので、下記の価格改定につきまして、何卒ご理解賜りますようお願い申しあげます。
実施日・改定幅
段ボール原紙・紙管原紙・チップボール
実施日 2025年10月1日納品分より 改定幅 現行価格より10円/kg以上 段ボール製品・紙器製品
実施日 2025年10月1日納品分より (→ 2026/3 3Qより価格転嫁の効果がのってくる) 改定幅 原紙価格改定分に、段ボール工場、紙器工場でのコスト上昇分を加えまして、個別に提示させていただきます。
過去の値上げ状況
What we changed
営業利益予想は 22/3 期 440 億円→390 億円(前期比 2.3%減)、23/3 期 460 億円→
546 億円(40%増)、24/3 期 480 億円→575 億円(5.3%増)、25/3 期 495 億円→608
億円(5.7%増)、26/3 期 505 億円→627 億円(3.1%増)へ修正。値上げ浸透で 23/3
期は大幅増益への期待が高まるとみる。前回の値上げは 17 年 8 月から段ボール原
紙で 10 円/kg、段ボール製品で 18 年 4 月以降 3~4 円/m2 浸透。さらに 18 年 11
月から原紙で 8 円/kg、製品で 4 円/m2 浸透した。同社における値上げ効果は 19/3
期約 140 億円、20/3 期約 120 億円であった。前回の値上げ以降市況水準が維持
されていることなどにより、同社の営業利益水準は値上げ前の 200 億円台から値上
げ後は 400 億円台に上昇。今回も 17 年時と同様の値上げ幅(原紙 10 円/kg、製品
3~4 円/m2)が浸透・維持すると想定し、23/3 期に 140 億円の値上げ効果を織り込ん
だ。営業利益水準は 500 億円台に一段上昇し、24/3 期以降も増益維持を予想する。
2025 年 3 月期 決算説明会での主な質疑応答
質問: 今期の予想営業利益の水準の高低をどう捉えていますか?
回答: 最低ラインの認識です。利益率 4%は死守したいと考えております
月足レンジ底値圏
2016~2025/6 まで、670~1000円のレンジで推移している。最高値は1989/12/6 1209円。2024/3/12に1208.5円まで迫ったが越えられず、673.4円まで下落。インフレ下、段ボールという必須の需要、値上げからしてここから大きく下を掘ることは考えにくい。
考えられるリスク
・金利上昇に伴う有利子負債への影響。
25/3 決算短信より
有利子負債 4485億 支払利息 4334百万
材料メモ
Action and catalysts
SMBC日興証券(以下「弊社」)は、レンゴー(以下「同社」)の投資評価「1」を継続す
るが、目標株価は 1,010 円→900 円へ引き下げる。目標株価の算出基準年度である
26/3 期の弊社予想 EPS を 109.8 円→97.3 円へ修正した。PER は今回より、弊社カバ
レッジの紙パルプ各社の 12 ヵ月フォワード PER の過去 5 年平均である 9.3 倍を適用
(従来は同社の過去 5 年平均 PER である 9.2 倍)。年初来の株価パフォーマンスは
王子 HD が+12.5%、日本製紙が+20.1%に対して、同社は-16.1%。(1)国内での段ボ
ールシート・製品値上げの成果が市場期待を下回った点、(2)海外関連事業では、
重包装資材を中心に業績が減速基調となっている点、(3)株主還元含む資本政策
の取り組みが市場要求に対して十分ではなかった点、が主な背景と弊社は考える。
短期的な業績水準の切り上がりや、株価反転への期待は織り込みにくい状況が続く
ものの、株式市場では前述の悪材料を概ね織り込み切ったと言えよう。先行きは、段
ボール原紙を皮切りとした国内での値上げにもう一度踏み切れるかに注目。値上げ
の取り組みが進めば、足元の株価水準は見直しの余地が大きいと弊社は考える。
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