企業の健全性を調査する上で重要となる指標
短期の安全性分析
流動比率
流動資産÷流動負債×100(%)
流動資産を流動負債で返済するという視点から短期の債務返済能力を判断する。
一般的に100%を超えているほうが安全。
※伝統的な経営分析では200%以上が理想といわれていた時代もあるが、近年は絶対基準はなく比較による相対評価が一般的
◎優良(200%以上) 〇普通(100%以上) △イマイチ(70%以上) ×NG(70%未満)
当座比率
当座資産÷流動負債×100(%)
※当座資産:流動資産ー(棚卸資産+その他の流動資産) ←その他の流動資産には短期貸付金や未収入金など当座資産に該当する項目が含まれる場合もあり
または、
当座資産=現金預金+受け取り手形・売掛金+有価証券(流動資産の分に記載されているもの)+その他(短期貸付金や未収入金)
流動比率の補完的な指標。流動資産よりも早期に換金できる可能性の高い資産のみを利用している。
100%超えのほうが短期的な支払い能力としては望ましい。現実的には80%程度
◎優良(150%以上) 〇普通(70%以上) △イマイチ(50%以上) ×NG(50%未満)
ネットキャッシュ
手元流動性(手元資金)ー有利子負債
※手元流動性:現金及び預金+有価証券(流動資産)
※有利子負債:短期借入金+長期借入金+リース債務(流動・固定)+社債
・プラスであれば実質的には無借金経営(キャッシュリッチ企業)
・有利子負債と現金同等物との比較で倒産リスクを見る
・ネットキャッシュと時価総額を比較してみる
長期の安全性分析
固定比率
固定資産÷純資産×100(%)
固定資産には建物や機械装置といった資産が含まれ、これらの投資は多額の資金が必要となり、資産の回収にも時間がかかる。この固定資産が返済義務のない純資産でまかなわれていれば長期的な財務の安全性が高いといえる。
100%未満→固定資産をすべて自己資本でまかなえている
◎優良(100%以下) 〇普通(120%以下) △イマイチ(150%以下) ×NG(150%超)
固定長期適合率
固定資産÷(純資産+固定負債)×100(%)
多くの企業は、固定資産の取得を借入に頼っている。固定資産を長期に利用可能な資産と返済義務のない資産でまかなえていれば長期の安全性は高いといえる。
100%未満→固定資産を固定的な長期の資金源泉でまかなわれている
◎優良(80%以下) 〇普通(100%以下) △イマイチ(120%以下) ×NG(120%超)
負債比率(D/Eレシオ)
負債/純資産×100(%)
負債比率は低いほど長期的な安全性は高い。
有利子負債比率
有利子負債÷自己資本×100(%)
100%以下なら適正水準
ネットD/Eレシオ
純有利子負債÷純資産×100(%)
※純有利子負債=有利子負債ー現金・預金
目安は100%以下。ネットD/Eレシオが1倍以下とは純有利子負債より純資産が多い状態を表しているので財務の安全性が高い。
自己資本比率は適正か?
※50% ∓ 20% が妥当な数値
- 80%以上 :優良(まず倒産しない
- 50%以上 :合格点
- 20%以下 :リスクあり(中小型は機関が総投げとなる)
その他
営業CFがマイナスでないか?
※営業CF:本業によって企業が稼ぎ出したキャッシュ
※2期以上続けて営業CFマイナス→収益力に根本的な問題があるかも??
累積損失がないか
※累積損失:利益余剰金がマイナスであること
※利益余剰金:企業が獲得した利益のうち分配されずに企業内に蓄積されたもの
※総資産の30%以上の利益余剰金があれば十分に優良といえる
債務超過になってないか
※債務超過:資産より負債のほうが多い状態
※自己資本がマイナスの場合、債務超過の状態に陥っている
※債務超過が1年以内に解消できなかった場合、上場廃止になる
赤字続きでないか
※3年以上の赤字は要注意
継続企業の前提に関する重要事象の記載がないか
ROE(当期純利益÷自己資本×100)とROA(当期純利益÷総資産×100)の差が開きすぎてないか?
レバレッジ経営※をしている場合、ROAと比してROEが異常に高くなる。2~3倍が適正値。それ以上だと、ハイリスク・ハイリターンな経営をしていると予想される。
※レバレッジ経営:金融機関から多額の借り入れを行い、積極的な事業展開で多額の利益を獲得しようとする経営戦略
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